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yurio’s diary

日々の気づいたことをのせています。

かなしみの歯医者

歯医者のいすに座って、わたしは選択を迫られていた。
 
右上奥歯は、既に、なにか物を食べたり歩いたり誰かを罵倒したりヘッドバンディングしなくても、
ただそこに居るだけで、じくじく痛んだ。
治療途中で、半年惚けていたためだ。
 
やわらか系歯医者のメンによれば、あと数日の命だということだった。
うそです。
 
医師は言った。
寝れないほど痛いなら神経抜きましょうか。
 
寝れない…わけじゃない。何と言っても寝つきだけは誰にも負けないのだ。
それに、たまに、痛くない、え、大丈夫、みたいな時もある。
 
根っこ、根っこなんて抜いちゃっていいの?ピーって糸くずみたいに引っこ抜くんですか。
ゾー
 

私は、右上奥歯の歯根をなくした私を想像した。

 
抜いてしまったものはもう戻らない。
またヒョッと植えつけたりできない。
 
でもまたずっと痛いなんて嫌だ。
 
春になっても神経は生えてこない。
永遠(とわ)にさようなら、
血みどろの私の歯ぐき。
 
私は、神経を引っこ抜く決意を医師に表明した。
医師は黙って頷いた。
 
そして、神経とは糸くずではなく、
引っこ抜くものでもなく、
トロっと血とかと一緒にでてくるのだと
教えてくれた。
 
ヒー
 
 
人生ってそうだけど、
わたしは、取り返しのつかない色んなことでできてるんだなあ…という思いが、すごい実感とともにやってきた。
 
取り返せたり、リセットできちゃう色んなことの方が、うそ!うそ!
 
 
 
そういうわけで、奥歯だけだけど☆嫌なことがあっても怖くない!怒られても無視されてもへっちゃらさ!ザ、無神経☆女に一歩近づきました。
 
…でも、歯、いたい…
 
なんで!
 
神経抜いたのに!
 
もう無神経なのに!
 
もしや…
 
他の歯の神経をとられてしまったのでは…
先生は、歯医者の格好をしているけど本当は違って、
神経のトロっとしたところをすすって、
生きている生き物なのかも……
わたしの歯、すすられたのかも…